なんてこったの草日和。

ジャングルプランツやオフ会について書き散らすブログ。

知るのが怖い

連載第二回

 

 原宿駅から目的地へと向かう間、ネッケは再会する草仲間のことを懐かしんでいた。初開催のBBに参加するため、深夜に東京―大阪を走破して「関東組」と呼ばれるようになった仲間。LAと深い関わりを持つアクアセノーテにたむろする野郎共。BBや草わるん以前の即売会からいる古参。夜の校舎窓ガラス壊して回ったダチ。色々な場面が脳裏を駆け巡った。そういえば兄貴……俺、まだ車の免許取ってないっす。BBではお役に立てそうもありません。でもいいですよね、ナカジーさんがいますから大丈夫ですよね。
 原宿を歩きながら、ネッケは緊張で体を固くしていた。皆と再開したら、何を話題にすればいいのだろう。LAやAZの最新リリースや流行にはついていける自信がなかったし、自分の植物事情は現状維持で面白くもないだろう。
 その先を左に曲がれば会場はすぐそこに迫っていた。ちなみに珍しく遅刻はしていない。
 その会場で即売会が開催されるのは初めてのことではなかった。以前にも草わるんの会場になっていたし、別部屋(地下)はAZがアグラオネマ最初期に使ったことがある伝説の場所と言えた。
 話を戻して。住宅地に近い会場なので、道路にずらずら並ぶという迷惑行為はできない。そのことを知っていたネッケは、会場から道路を挟んで向かいの駐車場で皆が時間を潰していることを知っていた。あと10メートル進めば皆がいる。その事実に心臓の鼓動が跳ね上がった。だれもネッケのことを覚えていなかったらどうしようという、一抹の不安があった。そもそもネッケは人見知りであり、影が薄いことを自覚していた。それでも、植物を始めた当初から仲良くしてくださっているRYOKUさんなら、ネッケのことを覚えていてくれるだろうという期待のもと、私は帽子を被っている人物を探すことに決めたのだ。
 駐車場に着くと、塀を背にして張り付いている一団と、駐車場の中に散っている人々がいた。心細くなりながらも塀に張り付いている人々を見ると、ネッケは知っているけれど、あちらはネッケのことを覚えていない可能性がある人々が多数。相変わらず2人のコバヤシさんは一緒にいた。そして有田さんがいらっしゃった。しかしRYOKUさんセンサーが反応しなかったため、駐車場のあちこちに散っている人々に目を向けた。
 その時である。帽子を被った人間が、ネッケのほうに歩いてきたのだ。
 ニコニコしながら近づいてくる帽子の人物を見て、直感した。RYOKUさんはネッケのことを覚えてくれていた! 感極まったネッケは、会えなかった時間を埋めるべく、満面の笑みで挨拶の言葉を口にした。
「お久しぶりです!」
「おー、ネッケ! 草やめたんじゃなかったの?」
 ネッケは当時を振り返る。あの投げかけは果たして、本気だったのか。冗談だったのか。正直、今でもわからないし、知るのが怖い。

 

連載第二回終わり

 

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草わるんの会場

 

 

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塀に張り付いている一団。左で格好をつけるコバヤシ氏。右ではふちさんが熱弁を振るう。